CADの基本的な解析機能とその内容について
コンピューター支援設計を意味するCADと似た概念にCAEという言葉があります。Computer Aided Engineeringの略でシミュレーション技術の支援を意味しますが、実際の業務では明確にCADとCAEを分けて作業する必要はありません。CADソフトであってもシミュレーションをすることが可能で、様々な解析機能が搭載されているものがあります。そこで設計段階のCAD上で出来る基本的な解析内容について説明します。
目次
作業段階に応じた解析で効率化
製図のみを行うCADオペレーターと解析技術者が分けられていることがあります。この場合設計と解析の作業を行ったり来たりすることになり非効率です。解析の結果安全面等の基準をクリアできなければ設計の調整を入れるなどしてやり取りをしなくてはなりません。しかし解析機能の搭載されたCADであれば、力学等の専門的な知識を持っていなくても解析が行えます。何が行われているのか、目的と結果を理解できればシミュレーション等の作業はコンピューターによって支援されます。CADオペレーターが設計の段階で解析を行うことで製造までの過程が効率的に進みます。設計しつつ動作確認、性能の検証を行うことで開発コストも下げられます。
よく使われる解析技術
最も基本的なものは物体の構造解析です。内部的な性質を検証し、応力の計算やひずみの計算などから安全性の確認を行います。他にも熱解析や流体解析、これらを応用した内容のものとして最適な形状の提案や材料の選択までサポートしてくれる機能を持つソフトもあります。ソフトによって違いが大きく、バージョンにも依存します。以下では、必要性の高い機能についてピックアップしていきます。
応力計算
設計した物に対して荷重を加え、曲がりやすさや壊れやすさを調べることができます。応力とは固体内部に作用する単位面積当たりの力のことで、物体内部に働く圧力のようなイメージです。
熱解析
熱を発生する機械や熱源が付近にある環境で使用する場合、解析が必要となります。熱伝導の計算をし、受けた熱に対する影響を調べます。物体は熱くなると膨張してしまいます。熱応力を解析し、膨張の具合や内部の状態を検査します。
固有振動数の解析
大きな建造物では特に重要になってきます。物体はそれぞれに固有の振動数というものを持っています。何かしらの力が働き実際に振動したとき、その振動数と固有振動数との関係で共振が起こります。大きな振動が起こるため破壊されてしまうことがあります。小さなものでも薄く割れやすいような物の場合解析する必要性が出てきます。
流体解析
水流や気流の影響を受ける物の設計で重要となります。ある箇所に流体が流れ込んだ場合に受ける圧力や、その流体の速度などを調べます。
アニメーションやカラー表示によって理解しやすい
解析をしてみるとアニメーションが作成されることや、カラーチャートのように表示されることで結果が分かりやすくなっています。視覚的に様子を見るだけでなく具体的な数値としても確認することができます。様々な条件を与えて解析し、そのアニメーションを保存しておけばプレゼンの場で使用することもできます。こうして製図しながら性能を整えられることがCADで行う解析の良いところです。