CADとイラストレータ
イラストレータとは、アドビシステム社が「Adobe Illustrator」の名称で1987年に販売を開始したソフトウェアで、グラフィックデザインの描画ソフトとして様々な業種で利用されています。イラストレータの特徴は、コンピュータ上で絵を描くことが可能である点であり、その特徴からホテルや商業施設などの建物や、鉄道や自動車の完成イメージといったデザイン作業で必須のソフトとなっています。
一方、イラストレータでデザインする物のほとんどは、製作時にCAD を用いて図面化します。そのため、CADとイラストレータとの間で相互性があれば、一つのプロジェクトで担当者どうしの打合せやデータのやり取りがスムーズに進み、ひいては納期の短縮につながると考えられます。
そこで今回は、CADとイラストレータ間でのやり取りを中心にお話しさせていただきます。
イラストレータを使った図面作成
イラストレータは、元々コンピュータ上でスケッチができる目的で開発されたソフトウェアで、広告などグラフィックデザインの仕事で必須のものとなっています。また、現在では建築物や機械のCAD設計への応用も進められており、CAD本来の機能である作図機能に加えてイラストレータ上で図面をより鮮やかに見せることができるようになります。
CADとイラストレータでのデータやり取り
次に、CADとイラストレータ間で図面データをやり取りする方法について説明させていただきます。
イラストレータは前述の通り、間取り図などを描くのを得意とするソフトです。また、イラストレータでは「DWG」、「DXF」などほとんどのCADソフトの拡張子を読み込むことが可能です。このため、CADで作成したデータを崩すことなくイラストレータで開くことができます。また、データをイラスト加工することも可能です。
さらに、プラグインソフトを使うことでイラストレータをCADと同じような感覚で操作することができます。
平面図などの2D CADのデータは、ベビーユニバース社が開発・販売しているParametricos というプラグインソフトを使用します。ここでプラグインソフトとは、ソフトウェアに組み込むことで追加機能を拡張できるプログラムのことを指します。
手順として、プラグインソフトを用いて2D CAD をイラストレータに取り込むことで、イラストレータ上でCADと同じような操作ができるようになります。(作図レベルの操作であれば、この機能があれば目的を十分達成できます)
また、3D CAD に対応したプラグインソフトとして、アプリクラフト社が開発・販売している CADgate が挙げられます。このソフトウェアはDWGやDXFとの相互性にも優れており、今後様々な業態への活用が期待されている3D CAD の特徴をイラストレータで発揮できると考えられます。
アドビシステムでは、この他にも様々なイラストレータ向けのプラグインソフトを紹介しています。ここではCAD用に加えて、フォトショップや地図の読み込み・編集機能などが挙げられます。
また、アドビシステム社は2014年に Creative Cloud というクラウドサービスの提供を開始しました。Creative Cloudはサブリクションサービスを採用しており、クラウド上でデータの管理を行うことで外出先やタブレットなど様々な媒体メディアから必要なデータにアクセスすることができるようになります。