CAD アイソメ
建物や機械・家具などの完成品をはじめ、多くの立体品を図面化した場合、平面図の組み合わせとなり、全体像がつかみにくいといった課題が挙げられます。このような問題を解決する方法として、アイソメシステムが挙げられます。これは、立体を斜め方向から見た様子を図面化した「等角投影図」のことで、作図ソフトであるCAD の世界では頻繁に使われるものです。そこで、今回はこのアイソメシステム(以下アイソメ) をCAD上で表現する方法について説明してゆきます。
目次
アイソメの役割
CAD でのアイソメといえば、オブジェクトの3次元ビューを平面図に投影することを指します。この手法を用いるメリットとして、建物の外観構造や設備の機器と配管ルートとの大まかな位置関係を把握しやすくなる他、構造が単純なものの外観を素早く作成することが可能となります。(もっとも、アイソメで作成できるのはオブジェクトの大まかな外形までなので、寸法の尺度変更には適切に対応できるものの、様々な角度からのオブジェクト表示や陰線の自動除去は期待できません)
アイソメ図作成手順
次に、アイソメ図の作成手順を説明します。ちなみに、今回説明に挙げるのはAutoCAD で図面作成を行う場合の手順についてです。
・コマンド内の「ISODRAFT」をクリックする
・いくつかのコマンドが表示され、そこで選択したコマンドに従い、コンピュータ内でシステム変数と設定が自動で変更されてアイソメ角度を容易に決定できようになる。
表示されるコマンドは下記の通りです。
・「右面」:30度と90度の軸にスナップとグリッドが位置合わせされる
・「左面」:90度と150度の軸にスナップとグリッドが位置合わせされる
・「上面」:30度と150度の軸にスナップとグリッドが位置合わせされる
アイソメ平面について、これら3つのいずれかを選択すると、アイソメ図の軸合わせが自動的にクロスヘアカーソル、精密な作図ツールとトラッキングツールに対応したものとなります。また、ステータスバーの「アイソメ作図」ツールを使用して希望のアイソメ図を作成することもできます。この他に、F5 または Ctrl+E をクリックすることでアイソメ図の平面図を循環させることが可能となります。
ちなみに、アイソメ図で精度を維持する方法として最もよく使われるコマンドと機能を紹介します。
・極トラッキングと直接距離入力
・オブジェクト スナップとグリッドスナップ (オブジェクトのスナップ, トラッキング)
・移動と複写、トリムと線の延長
アイソメ図の作成における楕円や等角円
アイソメ平面で作図する際は、円を表示する方法として楕円を使用します。楕円の形状を正確に作成することが必要となってきますが、最も簡単な方法として「EILLIPSE」コマンドの等角円オプションを使用する方法が挙げられます。この等角円のオプションは、アイソメのコマンドまたはシステム変数(SNAPSTYL) でコントロールしているアイソメ平面をアクティブモードにしたうえで使用できます。また、円弧・フィレット・その他の円曲線およびこの他のエッジへのトリムや延長を実行する場合にも等角円を使用します。
これは、等角円がアイソメ軸に平行な円柱や穴を正しく表示するとともに、これらのシルエットエッジがアイソメ軸に対して常に平行となることから、オブジェクトを立体投影する際の基軸としての役割を担っていると考えるためです。