3Dcadシステムを持ちいた構造解析の基礎的な流れ
3Dcadシステムを用いて構造解析を行うことが可能です。構造解析とは、ある物体に力がかかった際に、どのように変形するか、どの程度の応力がかかるか、どのような歪みが発生するか等、設計した物体の強度計算のことを言います。3Dcadシステムが普及する以前は、実際にモックアップを作成して、強度試験を行い、検証をされていましたが、時間とコストが莫大にかかります。3Dcadシステムを用いて構造解析を行うことで最小限のモックアップ試験で強度を検証することが可能となりました。
目次
有限要素法
実際の構造解析には、有限要素法(FEM:Finite Element Method)と言われる解析方法を用います。有限要素法とは、連続体である物体をある有限の大きさの要素に区切って、数値計算を行うものです。
構造解析の流れ
基本的な構造解析の流れは以下のとおりです。
解析をするためにメッシュを作成
先ほど、連続体の物体を区切って計算するといいましたが、その区切る作業をメッシュを作成するといいます。このメッシュを細かく切るほど、解析精度は向上しますが、解析時間が長くかかるとういデメリットもあります。
材料の物性値を入力する
構造解析で必要な物性値は、ヤング率とポアソン比です。ヤング率はその材料が持つ応力と歪みの比例係数です。ポアソン比は応力の方向に発生する歪みとそれに直交する方向に発生する歪みの比です。縦歪みと横歪みの比とも言います。
解析対象を拘束する
解析を行うためには、解析対象を固定しておく必要があります。固定されてなく、メッシュがあるだけの状態だと何の変化もなく、解析ができません。
荷重あるいは強制変位を加える
拘束まで完了したら、解析対象に対して何らかの力を加えてやる必要があります。体重計を設計するのであれば、100kgの人が乗るときに加わる荷重を上方向から加えます。また、さらに強度が高い体重計を設計するのであれば、200kgの人が乗った時の荷重を加えます。
解析を実行する
荷重の設定まで完了すれば解析が可能となりますので、解析を実行して解析が終了するのを待ちます。
解析結果の評価
解析実行までのプロセスは、なれてくれば簡単に実行できるようになってきますが、解析結果の評価は解析毎に値が異なることと、この結果に対して間違った評価をしてしまうと製品の安全性に問題が出てしまう場合があるため、非常に重要な項目です。
解析結果の評価方法は、当然何のために解析したのかによりますが、一般的には、どのような変形をしているか・どの程度の応力値が作用しているかを確認します。簡単な構造の場合は、おおよその変形の形態や作用する応力値は想像や簡易的に計算できると思いますので、その整合性を確かめます。その整合性が取れない場合の原因は主に二つあり、一つは、自分の想像の間違いです。もう一つは、解析プロセスの拘束や荷重条件の間違いです。構造が複雑になれななるほど、どちらに原因があるか分からなくなりますので、解析条件は念入りにチェックしなければなりません。
また、解析の結果を参照して、変形量が基準の値よりも大きい場合などは、その結果を設計にフィードバックして、再設計を行い、また解析を実施するというサイクルで製品の強度を確保していきます。